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  • 執筆者の写真t.yagihashi

やがて治療チームはネットワークメンバーに仲間として受け入れられ、そこから新たな共有言語が生み出されるとき、新しい意味も生まれてくるのです。(p151)

僕「今日、やっと『オープンダイアローグとは何か』が読み終わった!めちゃめちゃ読み応えのある本だったよ。」


もうひとりの僕「そっか。お疲れ様。」


僕「サウナ発祥の地であるフィンランド ラップランドで行われている対話を用いた治療法なんだってさ。」


もうひとりの僕「そうなんだね。」


僕「面白いなと思ったのはさ、オープンダイアローグで行われるミーティングっていうのは”対話すること”自体が目的なんだってさ。精神病とかを患っている患者を直すことじゃなく。」


もうひとりの僕「へえ。」


僕「治癒することは結果論に過ぎなくて、本の中ではたしか廃棄物と言われていたけど、対話するために治療チームは全神経を集中させて聴く・質問するんだってさ。」


もうひとりの僕「そうなのか......。」


僕「対話することを重視するからさ、治療チームで事前にミーティングの場を持つこともあり得ないんだって。全てがそのミーティングの場の対話で決まるし、なんならリフレクティングと呼ばれる治療チームだけの話し合いも患者の前で行われるみたい。そんな発想僕にはなかったよ!笑」


もうひとりの僕「確かに...。」


僕「これを読んでる時にふと思ったんだ。そんなことが可能なのかって。どこにゴールを持っていくかとか、何を話すかも決めていないからさ、話し合いの場が消化不良で終わってしまうじゃないか。僕には耐え切れないなって思ったの。」


もうひとりの僕「うんうん。」


僕「すごいのはここからさ。オープンダイアローグの臨床現場では依頼を受けてから24時間以内に治療チームが立ち上がって、すぐさま統合失調症などの患者本人と家族など関係者を集めて初回のミーティングをするらしい。しかもそのチームは患者の状態がよくなったと判断されるまでずっと、患者に寄り添って対話をし続けるんだ。その中で信頼関係ができ始め、語られる内容もそれに伴って変化していくんだって。」


もうひとりの僕「へえ。」


僕「さっき僕が言った、こんなのできないよねっていうのも、終わりの見えない不安に対して、治療チームが最後まで一緒に居続けることで解消されていくようで。”不確実性への耐性”を獲得していくんだって。」


もうひとりの僕「なるほど。なるほど。」


僕「こうやって、最初から最後までともに患者と治療チームが在ることで、一つのグループができて、ポリフォニックなミーティング、ダイアローグをする土台が出来上がるらしい。ダイアローグの中では、患者自身が体験している妄想・幻聴などの精神世界を聴き・語ることで、そのグループ独自の共有言語を獲得していく。そうやって、自身の経験を外在化させることで統合失調症の患者は回復していくらしいよ。」


もうひとりの僕「そうなのか。」


僕「うん。ダイアローグとモノローグっていう対比も面白かったな。まぁ、これを実践するとなるとすごい労力と覚悟が必要だなと思うし、自分にできるかはわからないけど。こういうノウハウじゃなくて、実践者の思想が滲み出るような本はすごく好きだな。読むのは大変だけどとても楽しかった。」


もうひとりの僕「そりゃよかった。」



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