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  • 執筆者の写真t.yagihashi

local.

僕「疑問に思うことがある。」


もうひとりの僕「なに?」


僕「地方で生活を始めてから、”地域”という言葉をよく聞くようになったよね。」


もうひとりの僕「そうかもね。」


僕「ここでいう『”地域”とは何者なのか?』って思うんだ。」


もうひとりの僕「へえ。」


僕「釜石市で言えば、人口は約32,000人だよね。例えば、地域の主張や地域の考えみたいなことを言ったとすると、この32,000人の総意を指しているかと言ったら明らかにそうではない。というか、全体の総意を得ること自体がもはや机上の空論だろうと思っているんだけど。」


もうひとりの僕「そうかもしれないね。」


僕「今度は物理的な点で考えてみると、釜石の面積は約440万㎢らしいんだけどもちろん土地自体が声を発するわけではないわけだ。強いていうなら、歴史・文化といった視点も考えられるかもしれないな。ただ、それを持っているのは土地そのものではなく、継承してきた人であると考えると、地域の考えと言った場合には、個人の主張であると考えられると思う。」


もうひとりの僕「確かに確かに。」


僕「地域の総意というものが存在せず、また、歴史的な部分が人に担われているとした場合、地域の声っていうのは、つまり個人もしくはグループの意見であると考えることができるんじゃないだろうか。」


もうひとりの僕「なるほど。」


僕「ここであえて地域という言葉を使うことによって、対象の輪郭がはっきりしなくなるよね。それにまるで市の、みんなの総意であるかのようにいうことで、自分自身の隠れ蓑にしている場合もあるかもしれない。」


もうひとりの僕「うん。」


僕「同じことは、”地域をよくする”という場合にも言えると思う。地域がよくなるっていうのは、そもそもかなり曖昧な言葉でさ、”地域”、”よい”、”する”をどう定義するかで見えるものも変わると思う。」


もうひとりの僕「うん。」


僕「まぁ、それは一旦置いておいて、ここでいう”地域”もまた何者なのかがよくわからないよな。インフラの整備を考えたら、整備された場所の一部の住民の生活は快適になるかもしれないが、それは一部住民であって、地域と呼ぶことができるのか。」


もうひとりの僕「その住民の生活の質が上がることで、生活様式から周りの人間にも効果が波及することはあり得ないかな?」

僕「面白い視点だね。それは確かにあるかもしれない。」


もうひとりの僕「全体が一度によくなることはあり得ないだろうから。また、全体が一斉に集まることもないわけだよね。だって全ての人が同じ関心を持っているとは思えない。そうすると、一旦特定のグループに向けた何かをすることで、そのグループから周りにも波及して、グループが大きくなり、やがてそれが地域と呼ばれるようなことだったりしないかしら。」


僕「なるほどなあ。グループそのものが地域と呼ばれるかどうかは判断できないけれど、波及することを前提に小さな集まりから始まることは考えられるね。ただ、それも地域と呼称できるかは微妙な気がする。少なくとも手触り感はないな。」


もうひとりの僕「逆の視点で考えるとさ、参加している人を地域の代表者として捉えることもできるんじゃないかな。」


僕「というと???」


もうひとりの僕「市議会とかそうだけどさ、権利を与えられた市民が投票によって選んだ代表な訳でしょ。その人は、選ばれるべく住民の欲するものをマニュフェストとして掲げているわけで。つまり、擬似的に住民の総意が得られているとも考えられないかな。」


僕「なるほど。間接民主主義的な考えってことだね。確かにそれはそうかもしれない。でもね、疑問としては2つほどあるんだ。1つは地域の会議や集まりみたいなことをする場合、議員選挙の場合と違って、それを知らない人がいるということ。また、2つ目は何かしらの理由によって投票に参加できなかった場合、権利を行使しなかったのはあなたが悪いので票としては数えませんとしてもいいのかということかなんだよね。」


もうひとりの僕「うん。」


僕「1つ目についてだけど、選挙であれば納得できる。まぁ国民の義務として教育を受けているわけだから。ただ、署名活動として地域の声を集めますみたいな場合を想定すると、明らかに抜け漏れは出てくるよね。そうした場合、地域というのは、十全ではないわけだ。それは地域と呼べるのか。」


もうひとりの僕「うん。」


僕「2つ目は、1つ目とも関連するんだけど、おそらく何かしらの形で選挙ほどではないだろうけど、地域の声として集めようとした場合には、全体に周知されると思うんだよね。ただ、それを知らない人も出てくるとは思うの。特に規模の小さい活動であればあるほど、抜け漏れが多くなる気がするんだけど。周知はしました、参加しなかったのはあなたの責任ですと言い切れないじゃない。そこで現れる”地域”は随分と歪んだ形、一部の声を地域と呼称しているに過ぎない存在なんじゃないかなと思う。」


もうひとりの僕「それはそうかもね。」


僕「話が長くなってきたからやめるけど、そもそも総和として、全体として位置付ける必要もないかもしれないなって気がしてきた。まあ、そうであれば一部の地域住民みたいな呼び方の方が適切な気もするな。」


もうひとりの僕「確かに。」




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